在留資格【技術・人文知識・国際業務】とは
数ある就労系ビザのうち最もポピュラーな就労ビザが、この【技術・人文知識・国際業務】(略して技人国と呼ばれることも多いです)です。
このビザの特徴、申請するための要件などをお話していきます。
特徴
このビザは『技術』『人文知識』『国際業務』という3つの分野を一つにまとめたものです。よって、多くの業界、職種で対応できます。
では、この3つの分野について説明していきます。
『技術』
研究開発やエンジニア、技術職などの職種がここに含まれます。イメージとしては理系職種です。
『人文知識』
営業や企画マーケティング、経理や財務など文系職種がこちらに該当します。
『国際業務』
翻訳や通訳、海外マーケティング、海外貿易業務など、外国の文化に由来する思考、感受性を必要とする職種が該当します。
このように、一つの職種でしか使えないビザ(例えば介護、芸術、教育など)とは違い、幅広い職種を抑えた柔軟性の高いビザです。
要件
上記3分野で若干要件はことなるものの、以下6点がこのビザの柱となる要件です。
- 学術的な専門知識や、外国人ならではの思考や感受性が必要な業務であること
- 職務に対する必要な学歴、または職歴を有していること
- 日本人と同等額以上の給与の支払いがあること
- 会社と申請人との間で雇用契約がきちんと行われていること
- 雇用する会社の経営状況が安定していること
- 申請人が法令を守り犯罪等を起こしていないこと
では、これら6つの要件をさらに細かく見ていきましょう。
①学術的な専門知識や、外国人ならではの思考や感受性が必要な業務であること
技人国のビザでは、あくまでも学術的な知識や、外国人の感受性などが必要とされる業務しか認められていません。
例えば建設会社で働こうとする場合、経理や総務、設計の業務であれば技人国として認められる可能性はありますが、建設現場での足場組み等の業務では技人国として認められません。
補足ですが、同時に業務量が十分にあるかという観点も重要です。
②職務に対する必要な学歴、または職歴を有していること
学歴で申請する場合
日本の専門学校・大学卒業以上、または海外の大学卒業または同等以上の学歴が必要です。
注意点として、海外の短期大学は同等以上の学歴として認められますが、海外の専門学校では同等以上の学歴として認められません。また海外の大学等の中には、入管により大学等と認められない場合がありますので注意が必要です。
もちろん、専攻と従事する職務内容には関連性が求められますが、大学等卒業の場合にはある程度幅を持って審査されます。一方専門学校卒業の場合には、専攻と職務内容の関連性は厳しく審査されます。
職歴で申請する場合
- 『技術』『人文知識』分野で申請する場合、10年以上の実務経験が求められます
- 『国際業務』分野で申請する場合、3年以上の実務経験を求められます。ただし、大学卒業者が翻訳・通訳の仕事に従事する場合には実務経験は問われません
この職歴に関しての証明は、客観的証拠により証明するため、在籍証明書などの準備が必要になります。
③日本人と同等額以上の給与の支払いがあること
この要件に関してはそのままの意味です。外国人だから安く雇用できるでしょ?とたまにおっしゃられる方もいますが、この場であえて断言しておきます。
『そんなことはありません』
なお過去にあったケースですが、入管から”給与が日本人より低いのでは”と指摘が入り、同業務・同程度の入社歴の日本人方の給与明細を比較対象として提出したことがあります。このことからも、このポイントに関ししっかりチェックされているということをご認識ください。
④会社と申請人との間で雇用契約がきちんと行われていること
入管の審査ポイントとして、業務・雇用の継続性というものがあります。申請人の方がその会社にきちんと入社し、安定した生活を送れるのかという観点です。この観点を証明するためにも雇用契約は重要です。もちろん契約社員での雇用も可能ですが、契約社員の期間の上限は原則3年、また、更新回数は最大2回までとなっています。
余談ですが、フリーランスでも技人国ビザの更新は行うことは可能です。過去にあったケースですが、翻訳通訳の業務に従事するフリーランスの方の更新を行ったことがあります。ただ、その場合でも業務・雇用の継続性という観点は審査の対象になります。その時は業務委託契約書、業務委託に関する報酬の支払い証明、銀行口座の入金歴などの提出を行い無事に許可されました。
⑤雇用する会社の経営状況が安定していること
これも④と同じように業務・雇用の安定性に関する観点です。会社の決算書の提出により証明します。赤字が続いてしまっている会社などの場合、どのように今後黒字化を目指すか等の事業計画書の提出を求められる場合があります。
企業はその事業規模によって、カテゴリ1からカテゴリ4に分けられます。カテゴリにより求められる資料も変わりますので注意してください。
技術・人文知識・国際業務 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
⑥申請人が法令を守り犯罪等を起こしていないこと
これはそのままです。日本だけでなく本国でのことも含まれます。
特によくあるのが留学生の資格外活動許可における就労時間超過(オーバーワーク)に関してです。留学生の中には、本国で借金をして日本に来るケースもあり、そのような状況にある留学生はオーバーワークしがちです。気持ちはわかりますが、法令違反には間違いないのでしないで下さい。
まとめ
就労ビザの代表格、技人国についてかみ砕いて説明しました。
外国人を雇用する際、また就職活動をする際には、以上の観点を念頭に行っていただければスムーズかと思います。
せっかく採用が決まったのに、ビザの許可が出ないから採用を取り消さなくてはならなくなるというのは、両者にとって非常にもったいないと思います。
何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問い合わせください。
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