在留資格【日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者】とは
今回は永住者以外の身分系ビザをまとめてご紹介したいと思います。
身分系と書いている通り、申請人が結婚するなどの条件により申請条件を満たす在留資格です。イメージとしては日本人の配偶者等(以下日配)と永住者の配偶者等(以下永配)は似ていますが、定住者は性質が異なります。ちなみにこれら3種類の在留資格には就労制限はありません。
では早速説明していきたいと思います。
日本人の配偶者等
申請条件
- 日本人の配偶者であること
法的に有効であり、かつ実体を伴った婚姻であること(偽装結婚は認められません)
- 日本人と特別養子縁組をした子供
普通養子は該当しません。特別養子縁組についてはこちら⇒厚生労働省HP
- 日本人の子として生まれた者
出生時に両親のどちらかが日本人であれば、その子供は日本国籍を取得します(二重国籍状態)。その後日本国籍を離脱して外国籍を選んだ場合、その方は日本人の子として生まれた者に該当します。
注意点
日本人の配偶者という申請条件を満たし日配を申請した場合、離婚や死別によりこの条件を満たさなくなってしまう場合があります。その場合別の在留資格に変更しなくてはなりません。入管法では、6か月以上条件を満たさない状態で日本に在留すると在留資格の取り消し対象となり、最悪の場合不法滞在者となってしまいます。
引き続き在留を希望する場合、永住者や定住者、もしくは就労ビザへ変更を行うことになりますが、特徴的なのは定住者ビザに変更できる点です。この定住者ビザを【離婚後定住】と呼んだりします。
申請条件としては以下の通りです。
- 日本で3年以上実体を伴う結婚生活を送っていたこと
- 日本で生活を続けていくために必要な資産や仕事があること(生活が安定している事)
- 日本で生活していける程度の日本語能力があること
- 日本の公的義務を果たしている事(税金の未納などが無いこと)
また、その日本人との間に子供がおり、その子を扶養する場合でも定住者ビザへの変更が認められます。その場合でも当然に安定した生活を送っていけることなどの条件はあります。
なお、離婚はしていないけどDVなどにより結婚生活が破綻して別居しているといったケースもあります。その場合でも定住者ビザへの変更が認められる場合があります。
後ほど説明しますが、定住者ビザは法務大臣があらかじめパターンを定めている【告示内定住】と、個々の状況を判断し特別に認められる【告示外定住】に分かれます。離婚後の定住者は告示外定住に該当しますので、特別に認めてもらう必要があるビザとなります。そのため条件を満たせば確実に定住者ビザになれるというものではないので、その点は注意しましょう。
ちなみに日配から永住者へのビザ変更の場合、10年間の在留期間に関して緩和されます。詳しくは【在留資格:永住者~特徴と要件を解説~】をご覧ください。
申請書類などは以下よりご確認ください。
出入国在留管理庁ホームページ(在留資格「日本人の配偶者等」)
永住者の配偶者等
次に永配について見ていきます。
申請条件
- 永住者の配偶者であること
法的に有効であり、かつ実体を伴った婚姻であること(偽装結婚は認められません)
- 日本で出生した永住者の子ども
日本で生まれ、かつその時に父もしくは母が永住者の在留資格を持っていることが必要です。なお、養子は含まれません。
注意点
このビザも日配と同様に、離婚や死別により在留資格の変更を求められます。日配と同様に3年以上実体を伴う婚姻関係を日本で続けていた場合【定住者】に変更する道があります。
このビザも永住申請の際に日配と同様、在留10年以上という期間が緩和されます。詳しくは【在留資格:永住者~特徴と要件を解説~】をご覧ください。
申請書類などは以下よりご確認ください。
出入国在留管理庁ホームページ(在留資格「永住者の配偶者等」)
定住者
最後に定住者に関して見ていきたいと思います。
先述した通り、定住者には告示内定住と告示外定住の2種類があります。離婚後定住などは告示外定住であると説明しました。では、告示内定住にはどのようなものがあるか見ていきたいと思います。
ちなみに告示内定住と言っていますが、正式には『出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号)』と言います。第一号から第八号まで定められています。(第二号は削除されています)
分かりにくく書かれていますので、なるべく簡単に書いていきます。
告示内定住
第一号(インドシナ難民)
インド、インドネシア、カンボジア等に一時滞在していて、国連高等難民弁務官事務所が日本に対し保護を推薦する者の内、次のいずれかに該当する者
- 日本社会への適応能力があり、生活を営むに足りる職業に就くことが認められる者、その配偶者又は子、父母もしくは未婚の兄弟姉妹
- 1に該当する者が日本から上陸の許可を得て日本に上陸し、引き続き日本に在留している状態において、この許可を受けて日本に上陸する直前に一時滞在していた国に滞在する当該者の親族であり、親族間での相互扶助が可能である者
第二号
削除
第三号(日系人の2世や3世)
日本人の子どもとして出生した者の実子であり、素行が善良な者
第四号(元日本人の孫)
日本人の子として出生し以前日本国民として本邦に本籍を有したことがある者の実子の実子で、素行が善良な者
第五号(配偶者)
次のいずれかに該当する者
- 日配のビザで在留し、日本人の子として出生した者の配偶者
- 一年以上の在留期間を指定されている定住者のビザを持つ者の配偶者
- 第三号または四号に該当し、一年以上の在留期間を持つ定住者の配偶者であり、素行が善良な者
第六号(未成年未婚の実子で扶養を受ける者)
次のいずれかに該当する者
- 日本人、永住者、特別永住者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
- 一年以上の在留期間を持つ定住者の扶養を受けて生活する当該者の未成年で未婚の実子
- 第三号、四号、五号③に該当する一年以上の在留期間を持つ定住者に扶養されて生活する当該者の未成年で未婚の実子であり素行が善良な者
- 日本人、永住者、特別永住者、一年以上の在留期間を持つ定住者の配偶者で、日配もしくは永配の在留資格を持つ者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
第七号(扶養を受ける6歳未満の養子)
次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活する、これらの者の六歳未満の養子
- 日本人
- 永住者
- 一年以上の在留資格を持つ定住者
- 特別永住者
第八号(中国残留邦人とその配偶者、その実子など関係者)
次のいずれかに該当する者
- 中国の地域において、1945年8月9日以後の終戦の混乱の中日本に帰ることなく、同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって、当時日本国民として日本に本籍を有していた者
- 1の者を両親として1945年9月3日以降に中国で生まれ、引き続き中国に住んでいる者
- 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(平成六年厚生省令第六十三号)の第一条の一号、二号または第二条一号、二号に該当する者
- 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号)の第二条一項に該当する中国残留邦人であり、同条四項に規定する永住帰国により日本に在留する者(永住帰国中国残留邦人)と日本で生活を共にするために日本に入国する当該者の親族であり、次のいずれかに該当する者
- ⅰ.配偶者
- ⅱ.18歳未満の実子
- ⅲ.日常生活または社会生活に相当程度の障害がある実子(配偶者が無いものに限る)で あって、当該永住帰国中国残留邦人等またはその配偶者の扶養を受けている者
- ⅳ.実子であって、当該永住帰国中国残留邦人等の永住帰国後の早期自立のために共に日 本に渡り扶養するに適していると当該永住帰国中国残留邦人から申し出があった者
- ⅴ.ⅳの配偶者
5.六歳に達する前から、前記ⅰ~ⅴに該当する者と同居し、かつこれらの者から扶養を受け ている者。または六歳に達する前から婚姻もしくは就職するまでの間、引き続きこれらの 者と同居し、かつこれらの者の扶養を受けていた養子、または配偶者の婚姻前の子
ここでご理解いただきたいこととしては、この定住者ビザは基本的には生まれや血筋に関連し、別の国に帰化した日本人や海外移住した日本人の血縁関係者に対する在留資格であるということです。特別な事情を考慮し成立した在留資格であると言えます。
なお、定住者も永住申請において、在留10年の条件が緩和され5年となります。
最後に告示外定住の例をいくつか挙げておきます。
告示外定住
- 難民認定された者
- 離婚後定住
- 死別後定住
- 婚姻関係が破綻している場合の定住
- 日本人の実子を扶養するための定住
などとなっています。
ちなみにこれらの性質上言うまでもなく認定申請はできません。
追記事項
告示外定住の【日本人の実子を扶養するための定住】について補足情報の記載です。
この条件において定住者の在留資格を持っている方は、子供が成人し、独立したら果たして定住者ビザの更新ができなくなってしまうのでしょうか?
答えは『更新できる可能性がある』となります。
文言上【日本人の実子を扶養するための定住】とあるので、扶養しなくなったらこの在留資格に該当しなくなると思いますよね?
ただ、この定住者という在留資格自体様々な観点で総合的に判断されます。
今回のように扶養する子が成人し、扶養しなくなった場合に観点となりえるのは
- 日本への定着性
- 独立生計要件
の2点です。
子どもを何年間扶養し育ててきたか、申請人の日本在留歴は何年か、日本語の能力は日常生活を送るのに十分かなどの日本への定着性。
就労しているか、年収はいくらか、税金・年金はきちんと払っているか、生活保護は受けていないかなどの独立生計要件。
これらの観点により更新できるか判断がなされます。
申請書類などは以下よりご確認ください。
まとめ
今回は永住者以外の身分系の在留資格をまとめてご紹介しました。これらは就労制限が無かったり、永住申請において条件が緩和されたりなどメリットと感じられる部分が多くあると思います。
配偶者ビザの申請では実体の伴う婚姻をしているなどの条件を満たす必要があり、申請においても婚姻にいたるまでの経緯や、お二人の写真や家族の集合写真等を提出するなど、偽装結婚でないことを証明していく必要があります。
定住者ビザの申請では自らの血縁関係を証明する必要がありますので、祖父母の戸籍謄本や除籍謄本、婚姻関係証明書、出生届受理証明書など公的な書面をもって証明する必要があります。
何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問合せフォームよりお問合せください。
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