該当性・適合性・相当性とは?
今回は、ビザ申請をする上で重要な考え方について簡単にまとめてみたいと思います。
これを読めば誰でも簡単に申請できるという話ではないですが、少なくとも申請する際には抑えておかねばならない大事なポイントがいくつか存在します。
それらを該当性・適合性・相当性という3つの観点で解説していきます。
ちなみに私が相談を受ける際には、該当性→適合性→相当性の順番でヒアリングを行うことが多いです。というのもそもそも論として、行いたい活動内容が存在する在留資格に適合しなければ、申請のしようがないですからね。
該当性
日本には約30種類の在留資格が存在し、それぞれ何を目的としての在留かにより分けられています。
例えば分かりやすいところで言うと、在留資格【留学】は日本で学校に通うためのビザであり、在留資格【経営・管理】は日本で会社を経営したり、会社の管理者として就労するための在留資格です。
申請を行う際には、申請人がどのような活動を行いたいと考えており、それが在留資格に該当するのかを入管に審査してもらう必要があります。そしてその活動内容と在留資格が一致して初めて適切な申請となります。これらの事を資格該当性と言います。
よくある相談例ですが、「働くためのビザに変更したい」と問い合わせがあったとします。そこで「どういう仕事をするんですか?」と質問して「よくわからない・・・」という回答があったとしましょう。
働きたいというのは確かに申請人が行いたい活動の内容かも知れませんが、ただ単純に働くためだけのビザというのは日本に存在しません。つまり、仕事内容(活動内容)の詳細が分からないと、どの在留資格を申請すればいいかも分からないという訳です。
適合性
一部の在留資格には、申請するために満たしていなければならない基準があります。【日本人の配偶者等】などの在留資格はこれがないです。入管法の第7条において上陸許可基準というものが書かれているのですが、その基準を満たしているかの観点を基準適合性と言います。
上陸許可基準ということは、上陸時のみ関係あるんでしょ?と思うかもしれませんが、入管が発行している審査要領において、更新時や変更時も上陸許可基準を満たしているか考慮されます。
この適合性について分かりやすい例が在留資格【法律・会計業務】です。
この在留資格の該当性、つまり活動内容の目的は『外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動』となっており、基準適合性に関しては『申請人が弁護士、司法書士、土地家屋調査士、外国法事務弁護士、公認会計士、外国公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士としての業務に従事すること』となっています。
つまり、その資格を持っていないと基準を満たさないとなるわけです。
相当性
ビザの変更や更新には「在留することが適当と認めるに足る相当な理由」があることが求められます。そしてこれの判断に用いられるのが相当性です。
出入国在留管理庁ホームページ「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」
歴史を紐解くと、あの有名な『マクリーン事件』はこの相当性で争われた裁判です。
相当性には以下の観点があります。
- 安定性
- 継続性
- 必要性
- 信憑性
それぞれを解説していきます。
【安定性】
これは本人の在留状況や、法律をきちんと守っているか、安定した報酬がもらえるか、雇用する会社の規模や事業内容などの観点です。
【継続性】
会社の事業実績や、会社の売り上げ実績、納税をきちんとしているかという観点です。
【必要性】
申請人の語学力・実務経験・学歴・会社規模などから、その会社のその業務に従事することが必要か、業務内容は一致しているかという観点です。
【信憑性】
提出した書面は虚偽ではないか、申請した外国人のそれまでの在留が適法で信頼できるものかという観点です。
これらが相当性の考え方です。
他にも必要な届出をきちんと行っているかや、社会保険にきちんと加入しているか等も考慮されます。
まとめ
今回はビザ申請の時に重要な考え方、該当性・適合性・相当性について解説しました。それぞれを書面で説明・証明・裏付けし、やっと一人分の申請になります。
たまに「申請に必要な書類を教えてください」というような問い合わせがあったりしますが、これだけの観点があり、一人ひとり在留状況などが異なる中、必要な書類や資料全てを網羅することは当然難しくなります。ですので、この様な問い合わせがあった場合には「入管のホームページに最低限必要な書類は書かれていますよ」といったご案内になってしまうという事なんです。決していじわるしてる訳ではないんですよ。
何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問い合わせください。
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