コラム:特定技能2号大幅拡大へ~6月9日閣議決定~

特定技能2号大幅拡大へ

6月9日に閣議決定されました、特定技能2号の対象となる業種拡大について、今回は書いていきたいと思います。

今現在特定技能で働いている方、もしくは雇用している会社には良いニュースだと思います。では、どのような分野が新しく追加されるのか、また今後の課題点などについて考えていきたいと思います。


新しく追加される分野

現在入管のホームページで追加が発表されていいるのは以下の分野です。

  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全て

介護に関しては、すでに在留資格『介護』が存在しているため、特定技能2号の対象分野からは外れました。


特定技能1号と2号の違い

以前比較した記事を書いていますので、そちらのリンクを貼っておきます。『在留資格:特定技能~現場作業が認められるビザ~』


今後どうなっていくか考えてみる

さて、基本的な情報に関しては上で述べたとおりですが、では実際今後どのようになっていくのか考えてみたいと思います。

まず知っておいていただきたいのは、現時点において特定技能2号は建設業と造船関連業種において既に認められており、制度として4年前に始まっています。そして現在特定技能2号を持っている外国人の方はたったの11人です。

これが何を意味するかという点を考えます。

特定技能2号になるためには、試験を受けそれに合格することが求められます。そして特定技能1号と2号では、求められる技能水準に大きな開きがあります。

例えば建設分野では以下のようになっています。

1号

『図面を読み取り、指導者の指示・監督を受けながら、適切かつ安全に作業を行うための技能や安全に対する理解力等を有する』

2号

『建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する』

特定技能1号では、自身が指示を聞き、安全に作業できれば問題ないですが、特定技能2号では、他の作業員への指揮監督能力、作業工程自体の管理能力が求められていることが分かります。実際に建設分野においては工程を管理する班長としての実務経験が受験要件となっており、特定技能2号試験の言語は日本語のみとなっています。

どうでしょうか?特定技能2号の分野が拡大したからといって、そう易々と特定技能2号を持つ方が増えるとは私には思えません。

介護分野が特定技能2号から外れた理由として、在留資格『介護』の存在が挙げられましたが、到底特定技能1号で介護を行っていた方が簡単にクリアできる要件とは思えません。→要件はこちらから『在留資格「介護」』出入国在留管理庁ホームページ

以上の事から、もし今後特定技能2号を拡大していきたいのであれば、働く本人の努力も重要ですが、それと同程度に雇っている企業側の努力も必要となってくると考えられます。

まず第一に雇い入れる側の考え方の変化が求められます。入社した後、どのようにキャリアアップしてもらうか、どのようなスキルアップを求めていくかという点を考え直さなければいけません。適当に現場に出てもらって、現場作業して一日が終わり、また明日も頑張ろうね!というような働かせ方では、いつまでたっても特定技能2号の要件を満たせません。

次に考える点として、日本語能力の向上が必須となる点です。特定技能2号を取得するにあたり求められる日本語能力の記載はありませんが、試験が日本語のみであること、また在留資格『介護』の要件『介護福祉士の資格を有していること』などから察するに、相当程度の日本語能力が求められると判断できます。会社として、ある方に特定技能2号を取得してほしいと考えた場合、その方の勉強時間を確保してあげたり、勉強をサポートしたりする必要性が生じてくる可能性があります。

特定技能2号の要件が緩和されるということは、現時点で発表はありません。

申請する本人たちにとっては、家族も呼べて、将来的に永住者の申請ができる可能性のある特定技能2号ですが、道のりは決して簡単なものではありません。また、雇う側である企業としてもそれ相応の努力が必要なのが、この特定技能2号という資格です。

実際に運用が始まるまでまだ時間がありますので、特定技能2号をお考えの方は今の内から対処していく方法を考えることをお勧めします。


まとめ

今回は2023年6月9日の『特定技能2号 分野拡大閣議決定』のニュースを受けて、今後どのようになっていくか考察しました。

何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問合せフォームよりお問合せください。


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