在留資格:研修~特徴と要件~

在留資格【研修】

今回は在留資格【研修】について特徴や要件を解説していきたいと思います。

前回のコラム『技能実習制度廃止!?~新制度設立へ~』で少し触れましたので、この機会に書いておこうと思います。

今現在この在留資格を持っている方はとても少ないです。2021年のデータですが、その一年間で在留資格【研修】を更新した方は50人程度です。その30年前の1991年には40000人以上いました。そんなマイナー在留資格ですが、ぜひこの機会に知っていただければと思います。


特徴

この在留資格に該当する活動は、『本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(技能実習1号、留学の項に掲げる活動を除く)』とされています。在留期間は1年、6月、3月です。

この【研修】の在留資格は、技能の修得をするための活動と明記され、一見すると技能実習と差が無いように見えますが、実は非常に大きな差が存在します。

それは在留資格【研修】では、実務研修を禁じている点です。公共機関や独立行政法人が行う研修を受ける場合には実務を伴う研修も認められますが、一般の企業が招へいする場合には認められません。ここは非常に重要な点です。もし実務研修もしてもらいたいんだという場合には技能実習の在留資格に該当する可能性が高いです。

次に挙げられる特徴としては、給与の支払いができない点です。在留資格【研修】を持つ方は扱いとしては労働者ではありません。給与の支払いはもちろん、時間外や休日に研修を行うこともさせてはいけません。一方で被雇用者ではないので、雇用契約などは必要ありません。また、研修手当等という名目で、金銭が支給される場合がありますが、あくまでも滞在に係る費用の実費弁償の範囲に収まっていなくてはなりません。


要件

申請の要件は実務研修の有無によって異なります。

基本は実務研修なしですので、まずはそちらの要件を抑えましょう。

【実務研修なし要件】

  1. 申請人が修得する技能等が、同一の作業の反復によって修得できるものではないこと
  2. 申請人が18歳以上であり、かつ国籍又は住所を有する地域に帰国後、本邦において修得した技能を要する業務に従事する予定であること
  3. 申請人が国籍又は住所を有する地域において、修得することが不可能又は困難である技能を修得しようとしていること
  4. 申請人が受けようとする研修が、研修生を受け入れる本邦の公私の機関の常勤職員で修得しようとする技能等について5年以上の経験を有する者の指導の下行われること
  5. 受入れ機関又はあっせん機関が研修生の帰国費用の確保その他の帰国担保処置を講じていること
  6. 受入れ機関が研修の実施状況に係る文章を作成し、研修を実施する事業所に備え付け、当該研修終了の日から1年以上保存すること

ここまでが実務研修を要しない研修を行う際の要件です。

実務研修を含む研修を行う際にはさらに以下の要件がプラスされます。

【実務研修あり要件】

要件①

  • 申請人が本邦において受けようとする研修の中に実務研修が含まれている場合には、次のいずれかに該当していること
    1. 申請人が我が国の国もしくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が自ら実施する研修を受ける場合
    2. 申請人が独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修を受ける場合
    3. 申請人が独立行政法人国際協力機構の事業として行われる研修を受ける場合
    4. 申請人が独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油開発技術センターの事業として行われる研修を受ける場合
    5. 申請人が国際機関の事業として行われる研修を受ける場合

要件②

  • 要件①の1~4に掲げるもののほか、申請人が我が国の国、地方公共団体又は我が国の法律により直接に設立された法人、もしくは我が国の特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人、もしくは独立行政法人の資金により主として運営される事業として行われる研修を受ける場合で受入れ機関が次のいずれにも該当するとき
    1. 研修生用の宿泊施設を確保していること(あっせん機関が確保していることも含む)
    2. 研修生用の研修施設を確保していること
    3. 申請人の生活指導を担当する職員を置いていること
    4. 申請人が研修中に死亡し、負傷し、又は疾病にり患した場合における保険への加入その他の保障措置を講じていること(あっせん機関が措置を講じても可)
    5. 研修施設について労働安全衛生法の規定する安全衛生上必要な措置に準じた措置を講じていること

要件③

  • 申請人が外国の国もしくは地方公共団体又はこれらに準ずる機関の常勤の職員である場合で、受け入れ機関が要件②の1~5までのいずれにも該当するとき

要件④

  • 申請人が外国の国又は地方公共団体の指名に基づき、我が国の国の援助及び指導を受けて行う研修を受ける場合で、次のいずれにも該当するとき
    1. 申請人が外国の住所を有する地域において技能等を広く普及する業務に従事していること
    2. 受入れ機関が要件②の1~5までのいずれにも該当すること

要件⑤

  • 申請人が本邦において受けようとする研修に実務研修が含まれている場合には、当該実務研修を受ける時間(2つ以上の受入れ機関が申請人に対して実務研修を行う場合には、その合計時間 )が、本邦において研修を受ける時間全体の3分の2以下であること。ただし、申請人が次のいずれかに該当し、かつ、実務研修の時間が本邦において研修を受ける時間全体の4分の3以下であるとき、又は次のいずれにも該当し、かつ、実務研修の時間が本邦で研修を受ける時間全体の5分の4以下であるときはこの限りではない。
    1. 申請人が、本邦において当該申請に係る実務研修を4か月以上行うことが予定されている場合
    2. 申請人が、過去6か月以内に外国の公的機関又は教育機関が申請人の本邦において受けようとする研修に資する目的で本邦外において実施した当該研修と直接に関係のある研修で、1か月以上の期間を有し、かつ、160時間以上の課程を有するものを受けた場合

以上が実務研修を含む研修を行う際に追加される要件です。

必要書類などは入管のHPに載っていますのでリンクを貼っておきます。

在留資格「研修」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)


まとめ

今回は在留資格【研修】について特徴や要件をまとめました。

今現在ではあまり人数がおりませんが、実際に対象となる方の例を最後に挙げたいと思います。

  • 日本に本社を持ち研修施設も持つ会社が、外国に事業所を構えていて、そこで働く従業員や取引先の企業などの職員が日本のその会社の研修施設で研修を受ける場合
  • 日本にある公務員のための研修施設において外国の公務員が研修を受ける場合
  • 日本にある学術・文化施設において開催される講習会に参加して知識を学ぶ場合で、短期滞在の対象にならない場合

この様なケースは在留資格【研修】の対象となり得ます。

何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問合せフォームよりお問合せください。


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