コラム:入管法違反とは?~種類と事例~

入管法違反とは?

今回は、入管法違反行為について書いていきたいと思います。

さて、入管法違反行為は大きく分けて3つに分類することができます。

  • 入国時の違反
  • 在留中の違反
  • 出国時の違反

それぞれのタイミングでどのような違反があるか見ていきたいと思います。


入国時の違反

  1. 不法入国・不法上陸
  2. 不法入国や不法上陸を容易にする援助行為
  3. 集団密航者を上陸・入国させたり,輸送・蔵匿(かくまうこと)したりする行為

これらの行為が入国時に行われる可能性がある入管法違反行為です。

1、2番は「3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金」が科せられます。

3番は「5年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科せられます。

在留中の違反

  1. 不法滞在(オーバーステイ)
  2. 出国命令違反
  3. 日本で専ら資格外活動をして不法就労していた場合
  4. 日本で専らではないものの不法就労をしていた場合
  5. 在留カードに関する虚偽の届出
  6. 住所変更届をしなかった場合

これらの行為は在留中に行われる可能性がある入管法違反行為です。

1~3番は「3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金」が科せられ、退去強制事由にも該当します。

4番は「1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金」が科せられます。

5番は「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」が科せられます。

6番は「20万円以下の罰金」が科せられます。

出国時の違反

  1. 出国準備期間の徒過
  2. 退去強制事由のある外国人をかくまったり逃亡させたりした場合
  3. 出国確認の手続きを取らないで出国した場合,もしくはその出国を企てた場合
  4. 出国命令期間中の条件違反

これらの行為は出国時に行われる可能性がある入管法違反行為です。

1、2番は「3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金」が科せられます。

3、4番は「1年以下の懲役もしくは禁錮または30万円以下の罰金」が科せられます。


日本人が犯しがちな入管法違反行為

入管法違反は外国人だけが対象と思われている方もしばしばお見受けしますが、日本人も摘発されるケースも往々にしてあります。

  1. 不法就労助長罪
  2. 不法入国や不法上陸の援助行為
  3. 在留カードの偽造、変造

これら3つは日本人でも犯してしまう可能性がある入管法違反です。

また、昨今はあまり話を聞きませんが、偽装結婚も入管法ではなく刑法の「公正証書原本不実記録罪」という犯罪に該当します。


資料から読んでみる

ここで、こんな資料を用意しました。

出入国在留管理庁ホームページ「令和4年における入管法違反事件」について

これは令和5年3月24日に報道発表された資料です。

さて、資料では過去5年間の入管法違反事件について総数や国籍などがまとめられています。過去5年間では令和元年の入管法違反事件の件数が最も多く19,386件でした。次いで令和3年が18,012件です。直近の令和4年は10,300件となっています。

違反内容(事件)としては、最も多いのが不法残留で事件総数の90%程度を占めます。不法入国・不法上陸は年々減少傾向が見受けられます。また、資格外活動違反も減少傾向です。一方で、刑罰法令違反が増加傾向であることは注目すべき点だと思います。

在留資格別で入管法違反事件の推移をみると、短期滞在と技能実習でどの年も50%を超えます。やはり短期滞在で入国しそのまま雲隠れしてしまったり、技能実習先から逃げてオーバーステイになってしまったという事件が多く起こるからでしょうか。

不法就労者が何県で働いていたかというデータもあります。人口が一番多い東京が比例して多いのかと思っていましたが、何と一番多かったのは茨城県でした。令和4年の不法就労者数は6,355人でしたが、茨城県で1,283人となっています。総数のおよそ20%を占めます。次いで千葉県で890人、愛知県701人となります。

不法就労者の国籍別でみると、総数6,355人に対しベトナムが2,522人でトップ、次いで中国で1,360人、タイ751人、インドネシア535人、フィリピン442人となります。やはり技能実習の弊害と言いますか、その様な雰囲気が見え隠れするのは気のせいでしょうか。

入管が退去強制した人数は4,795人で令和3年と比較し673人増加しました。退去強制した外国人の国籍でみると、ベトナムが2,206人、次いで中国980人、タイ382人、フィリピン382人と続きます。

被退令仮放免者の人数を見る前に、仮放免について簡単に説明します。退去強制で送還するために通常は入管に収容されます。しかし健康上の理由や難民申請や行政訴訟を提起するなどの事情により速やかに送還できない方がいます。その様な場合に行動範囲の制限などの条件を付して認められるのが仮放免です。で、この仮放免者ですが、令和4年末段階で仮放免者が3,391人います。国籍でみるとトップがトルコで650人、次いで中国が470人、フィリピンで271人となります。

出入国在留管理庁ホームページ「退去強制手続きと出国命令制度」

ここにあるフローチャートが分かりやすいです。今度退去強制と出国命令の違いについて書きたいと思います。


まとめ

今回は入管法違反についてコラムを書きました。私は行政書士なので「裁判になりそうなんだけどどうしよう?」とご相談されても弁護士さんを紹介することしかできませんが、この様に注意喚起することで少しでも違反する方が減ればいいなと思っています。

何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問い合わせください。


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