在留資格:永住者~特徴と要件を解説~

在留資格【永住者】とは

今回は【永住者】について説明をしていきます。

このビザは問い合わせも多く、数ある在留資格の中でもトップクラスの人気を誇ります。

では、なぜこのビザが人気なのか、どうすれば取得することができるのかなどわかりやすく解説していきます。

なお、よく【永住権】と仰る方がいますが、日本には【永住権】なるものは存在しません。永住権と言えば、あたかもその方が日本に永住する権利を持っているように聞こえると思いますが、日本はそもそも外国の方が日本に在留する権利(在留権)を認めているわけではありません。

例えば永住者の在留資格を持つ方が母国に一時帰国(日本から出国)したとします。その後日本への帰国(日本に入国)の際に入国が認められないとしましょう。その方は果たして永住権を持っているから当然に入国させろと言えるでしょうか?このようなケースは勿論稀ですが、理論上起こりえることです。なぜなら日本は出国の自由は外国人の方にも等しく認められていますが、入国の自由は認められていません。外国の方はその都度入国について許可を得ないといけないことになります。というかそのために【再入国許可】の制度が存在します。

こういったことからも、日本には永住権は無いと言うことができます。あくまでも法務大臣が永住を認めたから日本に【永住者】という在留資格でいられるというわけです。ちなみに特別永住者の方も【再入国許可】の手続きは必要ですから忘れないでください。

出入国在留管理庁ホームページ(特別永住者の制度が変わります!)

さて前置きが長くなりましたが、特徴や要件をお話していきます。


特徴

まず第一に通常どのビザにおいても在留期間の定めがありますが、それが無くなります。

と言っても在留カードには有効期間がありますので、カード更新のために入管には行く必要があります。ただ、数年に一度申請書を作成し更新するという手間が無くなるのは大きな特徴です。

第二に就労制限が無くなります。

身分系を除く多くのビザには就労制限が存在しており、その制限を破ってしまうと更新ができなくなるなどの恐れがあります。永住者の在留資格にはそのような就労制限が存在せず、どのような働き方でも可能(例えば昼間は会社の経営を行い、夜はコンビニでバイトするなども可能)になりますし、ビザ更新の必要がないので、転職して初めてのビザ更新に緊張するということが無くなります。

これらは特徴の代表的なものであり、他にもローンを組みやすくなったりするなど社会的信用を得やすくなるなどの特徴があります。

大幅な在留管理の緩和ということから、永住審査は通常の審査よりも慎重に審査されます。標準処理期間は4か月と定められていますが、それ以上になるケースも往々にして存在します。


要件

永住申請の要件は、『入管法22条』『永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)』に定められています。

(入管法22条)

  1. 在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し永住許可を申請しなければならない。
  2. 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては、次の各号に適合することを要しない。
    • 素行が善良であること
    • 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  3. 法務大臣は、前項の規定による許可をすることとしたときは、出入国在留管理庁長官に、当該外国人に対し、その旨を通知させるものとする。この場合において、その通知は、出入国在留管理庁長官が、入国審査官に、当該許可に係る外国人に対し在留カードを交付させることにより行うものとする。
  4. 第二項の規定による法務大臣の許可は、前項の規定による在留カードの交付があつた時に、その効力を生ずる。

2項の要件箇所を赤字にしましたので、その点についてお話していきます。

(1)素行が善良であること

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることが求められます。入管法だけでなく道路交通法などの日常生活で違反しやすいものも含めて対象です。海外の法律ももちろん対象です。法律はきちんと守りましょう。

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能などから見て将来において安定した生活が見込まれることが求められます。要は将来的に生活保護になってしまいそう等の不安がある方はダメということです。ちなみに『年収はいくらくらいあればいいですか?』と質問されることがありますが、目安の一つとして【年収300万以上を5年以上】ということができます。ただ、これは申請する人の状況によって基準が変わります。例えば住んでいる地域が東京と沖縄では物価や家賃も違いますし、申請者の扶養家族が何人いるか等によっても求められる年収が変わります、扶養者1人に対しプラス60~80万円は年収が欲しいところかなと思います。

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

  • 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
  • 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
  • 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

※当面の間在留期間3年でも最長の在留期間をもって在留していると取り扱われます

  • 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

※ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者の場合には、(2)に適合することを要しない。

なお、入管法と永住ガイドラインには書かれてはいない事ではありますが、生活の拠点が日本に存在しているかどうかという部分も観点として挙げておきたいと思います。1年間の内、1回の渡航が90日以上、1年間通じ150日以上海外にいるような状況であると、生活の基盤が日本にあるとは考えにくいと判断され、申請で不利に働いてしまうケースがあります。もちろんその時々の状況によっても異なりますので、日数はあくまでも目安として考えていただければと思います。

以上の3つが永住申請の要件です。

この要件の内(3)の中にある、【原則10年日本に在留している事】に対しては特例が認められています。

(1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること

(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること

(3)難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること

(4)外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること

(5)地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること

(6)出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
ア、「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること
イ、3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること

(7)高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
ア、「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること
イ、1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること

特例のポイント部分は赤くしておきました。この中で頻繁に見かけるのが(1)(2)(6)(7)かと思います。

必要書類に関しては入管のHPのリンクを貼っておきますのでご確認ください。

https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html


まとめ

今回は在留資格【永住者】についてお話いたしました。

他の在留資格と比べると大幅に在留管理が緩和されると共に、一方で審査自体も厳しくなります。ただ、この在留資格を取得するメリットは非常に大きいと言えます。要件に関してもいくつも満たす必要がありますので、一つ一つ確実に確認していく必要があります。

『永住申請したいけど要件を満たしているか微妙・・・』という方でも、まずはご相談ください。一つ一つ事情をお聞きした上で、お手伝いできるかどうかお話させていただきます。

何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問合せフォームよりお問合せください。


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