資格外活動許可
今回は在留資格ではないですが、資格外活動許可について説明をしていきます。
これは、今現在持っている在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可です。
具体的な事例で説明していきます。
例えば留学生です。
留学ビザを持ち日本に在留していますが、この留学ビザが認められる活動は、
本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動。
該当例としては、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校及び小学校等の学生・生徒。
です。
つまり、留学ビザの本来の目的は上で太線にした【教育を受ける活動】を行うというものです。留学生がアルバイトする光景はよく見かけますが、留学ビザの観点から見ると【教育を受ける活動】というビザの目的から反れてしまっています。
そこで必要となってくるのが今回説明する資格外活動許可です。
もう一度冒頭の文章です。
資格外活動許可とは,現に有している在留資格(留学ビザ)に属さない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(アルバイト)を行おうとする場合に必要な許可
ということになります。
資格外活動許可について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
資格外活動の種類
この資格外活動許可には2つ種類があります。
(1)包括許可
1週につき28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うときに必要となります。
出勤時間や退勤時間のあるような一般的なアルバイトをすることを想定されているのが前提です。ただ、個人の業務委託として行うアルバイト(某配達のアルバイトなど)も条件次第ではこの包括許可で可能になります。その条件とは、客観的に稼働時間が確認することができることです。もし、客観的に稼働時間の確認が出来ないアルバイトを行う場合には、下で説明する個別許可が必要になります。
「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について(2022年12月20日追記)
許可の対象例としては、
- 留学ビザの方(夏休みなど長期休暇期間は一日8時間以内、週に40時間まで勤務可能)
- 家族滞在ビザの方
- 外国人の扶養を受ける配偶者や子、又はそれに準ずる者として扶養を受ける者として行う日常的な活動を指定されて在留する方で、特定活動ビザを持っている方
- 就職活動中又は内定後就職までの在留を目的とする特定活動ビザの方
- 教育ビザ、技術・人文知識・国際業務ビザ又は技能ビザ(スポーツインストラクターに限る)のうち,地方公共団体等との雇用契約により活動する方
(2)個別許可
(1)の範囲外の活動について許可の申請があった場合や就労資格を有する方が、他の就労資格に該当する活動を行う時は、活動を行う本邦の団体名及び事業内容その他必要な事項を定めて個々に許可されます。
許可の対象例としては、
- 留学生がインターンシップに参加する場合において、週28時間を超える資格外活動に従事する場合
- 教授ビザを持つ方が、民間企業で語学教師として働く場合(技人国ビザに該当する活動を行う場合)
- 個人事業主として活動する場合や、稼働時間を客観的に確認することが困難な活動に従事する場合(業務委託や請負契約などにより、労働時間が明確でない場合。なお、活動内容、活動状況、契約内容からみて、在留目的が実質的に変更されていると判断した場合には、在留資格変更申請を求められる。例えば法人を設立したり、人を雇用する場合、事業所を設けて活動する場合など)
などが該当します。
要件
資格外活動を申請する際の要件をお話しします。
以下の要件のいずれにも適合する場合、資格外活動は許可されます。
- 申請人が資格外活動に従事することにより、現在持っている在留資格の活動が妨げられるものでないこと
- 現在持っている在留資格の活動をちゃんと行っていること
- 申請にする活動が入管法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動(特定技能及び技能実習を除く)に該当すること(具体的には、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営管理、法律・会計、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能です)。つまり、単純作業や現場作業とみなされる仕事であれば資格外活動は認められません。しかし、包括許可については当該要件は求められません
- 資格外活動の内容が次のいずれの活動にも当たらないこと
①法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動
②風俗営業、若しくは店舗型性風俗特殊営業若しくは特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動
- 収容令書の発付又は意見聴取通知書の送達若しくは通知を受けていないこと
- 素行が不良ではないこと
- 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている者は,当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること
ここまで要件を書きましたが、少し具体的に落とし込んでみたいと思います。
時給がいいアルバイトの代表としてパチンコ店が挙げられますが、果たしてここで資格外活動許可を持つ留学生が働くことができるでしょうか?
答えは『働けない』です。
理由としてパチンコ店が風営法の管轄内の事業であるからです。要件はいわゆる性産業を中心に書かれていますが、パチンコ店やゲームセンターも漏れなく風営法の管轄内です。であることから、資格外活動許可では働くことができません。一方で、この様な風営法管轄の業種でも働くことができる在留資格があります。それがいわゆる身分系と呼ばれている在留資格です。具体的には、
- 永住者
- 定住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
です。これらの在留資格には就労制限が無いため、パチンコ店で働くことができます。
(2024年7月17日追記)
申請方法
通常の包括許可であれば、基本的には申請書を出すのみで足ります。ただ、個別許可の場合には、申請書と共に活動内容や、活動時間、報酬などを説明する文章を提出します。
注意点
一般的に多くの外国人の方がアルバイトをしていますので、簡単に考えがちな部分はあるかと思いますが、働く側も雇う側も注意しなくてはならない点があります。
雇う側として認識していただきたいのは、基本的にこの許可がないと留学生や家族滞在の方は働けません。ついうっかり雇ってしまったということが無いように、応募があった際には絶対に確認するようにしましょう。資格外活動許可を得ている場合には、在留カードの裏面にスタンプが押されています。
また、応募に来た外国人の方が別のアルバイトを掛け持ちしており、結果として週28時間の制限を超えてしまうことの片棒を担いでしまう事も考えられます。雇う際には本人に確認をしてあげてください。その方が双方にメリットがあると思います。オーバーワークにより本人がビザ更新で不許可になった場合、基本的には帰国しなくてはならなくなります。そうなると雇う側としては従業員が減ってしまうことになります。また、安定して働き続けられる職場として、留学生などのコミュニティー内で評価が上がれば、紹介により従業員の確保が容易になり、結果として求人に割く費用を抑えることができると思います。
働く側の注意点は、留学生や家族滞在で資格外活動の許可がないまま働いてしまったり、また週28時間を超えるオーバーワークをしてしまうと、資格外活動違反で今持っているビザの更新ができなくなってしまう恐れがあります。そうなると、最悪の場合帰国しなくてはいけなくなります。そして留学ビザで不許可になってしまうと、帰国した後再度留学ビザを申請するということは非常に困難になります。留学ビザは非常に厳しいです。
また、留学生が特に気を付けなければいけないことがあります。それは長期休暇の際に一日8時間、週40時間まで働くことができる例外規定です。確かに収入を増やすことができるので良い点だと思います。しかし、一方で長期休暇が終わってもそのまま働く時間を減らさなかったりしてオーバーワークになってしまうケースが後を絶ちません。お店の事情で店長などからシフトを減らされて困ると言われるかも知れませんが、自分のビザは自分で守りましょう。
あと、給料が手渡しだからオーバーワークしてもバレないから大丈夫と考えている人が中にはいますが、決してそんなことはありません。外国人を雇う場合には、雇用主はハローワークに届出を出す必要があり守らないと会社に罰金があります。そのため手渡しだから働いているのがバレないというのは甘い考えです。
最後に、学校を卒業後日本で就職を考えている方も多いと思います。留学ビザから技人国ビザへ変更する場合には『納税・課税証明書』は基本的に必要ないですが、その後その就労ビザを更新する際に必要になります。この『納税・課税証明書』は前年分の収入と課税額、納税の有無を記載していますので、仮に技人国ビザが1年の場合には留学生時代の『納税・課税証明書』を提出することになります。そのため、このタイミングでオーバーワークが発覚しビザ更新が不許可になるというケースもあります。多くの場合には、入管から『追加提出通知書』が届き、留学生時代の勤務先に源泉徴収票や月にどのくらい働いていたかなどのシフト表を求められることになります。
まとめ
今回は資格外活動に関して話してきました。
配達のバイトなどを行っている外国人の方もいらっしゃいますが、あくまでも客観的に稼働時間を証明できなければ認められません。その仕事を始める前に、稼働時間の証明書や履歴を書類として出すことができるかきちんと会社に確認しておくことをお勧めします。
何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問合せフォームよりお問合せください。
川崎・横浜エリアのビザ申請なら
And-U行政書士事務所
5件のコメント
コメントはできません。