在留資格と同性婚
最近同性婚裁判の判決が九州の方で出たので、これを機に在留資格と同性婚の関係性について書いていきたいと思います。
日本で配偶者関係の在留資格と言えば【家族滞在】や【日本人の配偶者等】【永住者の配偶者等】変化球で【定住者】が挙げられますが、果たして同性婚カップルにも同様にこれらの在留資格が付与されるのでしょうか?
結論から申し上げますと、上で挙げた在留資格は同性カップルに付与されません。
その代わり、人道的観点から配慮され在留資格の【特定活動】(告示外)が付与される可能性があります。
もう少し詳しく見ていきましょう。
同性婚は日本では認められていない
まず、前提として日本では同性婚は認められていません。もちろん各自治体によってはパートナーシップ協定であったりの動きはありますが、あくまでも法律上の婚姻は認められてはいません。
一方海外では同性婚が法律で認められている国が大体30か国くらいある訳ですが、海外で適法に同性婚を認められたカップルが日本に来た場合はどうなるでしょうか?
パターンが2つに分かれるため、一つずつ見ていきましょう。
外国人同士の同性婚カップルの場合
この場合には家族滞在に似た運用がされています。
例えば一方の人が【技術・人文知識・国際業務】を持っていて、その配偶者の方が【特定活動】の在留資格という具合です。
ただし、家族滞在に準じるという事で【特定活動】は就労に制限があります。資格外活動許可が認められれば、週28時間以内の就労はOKです。この辺りも【家族滞在】と同じです。
日本人と外国人の同性カップルの場合
これは実は最近まで認められていませんでしたが、2023年に日本人とアメリカ人の同性カップルに対し、【特定活動】が付与されました。
このカップルは2022年に裁判をした方たちで、元々は【定住者】の在留資格を求めていましたが、それは認めらず代わりに【特定活動】が認められた感じです。
ですので、現在は両方のパターンにおいても【特定活動】が認められる可能性があるという事ができます。
要件
要件と書きましたが、実際には告示外の【特定活動】であることから、明確にこれだと定められている訳ではありません。しかし【家族滞在】に準じる運用がされていることから、ある程度想定することが可能です。
以下が想定される要件となります。
- 本国で婚姻が法律上有効に成立していること
- 二人が安定して生活を営む程度の生活基盤があること
- 【特定活動】の在留資格を申請する側は扶養を受けること
- 本体者と同居する事
- 本体者側は長期で日本で生活するための在留資格を有していること(外国人同士の場合)
もちろん告示外であるため、これ以外にも求められる条件はあるかも知れませんし、ケースとしてはごく少数の為、審査は長期化する可能性が高いと思われます。
なお、告示外の【特定活動】であるため、認定申請を行うことはできません。申請をする場合には、短期滞在等の在留資格で入国し、変更申請を行う必要があります。
まとめ
今回は在留資格と同性婚というテーマで書いてきましたが、今後どのように日本が同性婚と向き合っていくかという社会的な問題を含んでいると思います。
にしても特定活動ってホントに便利な在留資格ですね。
何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問い合わせください。
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