在留資格【介護】
今回は在留資格【介護】について、特徴と要件をまとめていきたいと思います。
前回投稿した『コラム:特定技能2号大幅拡大へ~6月9日閣議決定~』でも少し触れましたが、この在留資格は特定技能との絡みが発生する在留資格であります。
せっかくなので、この機会に触れておこうと思います。
特徴
『本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動』
出入国在留管理庁のホームページには、この在留資格に該当する活動としてこのように記載されています。
この在留資格の特徴としては、申請要件として資格を取得していることを基本としていることです。他の在留資格では【医療】や【法律・会計業務】がこの様な要件になっています。詳しくは要件の説明に回したいと思います。
在留期限は5年、3年、1年、3月です。
さて、くわしく解説していくと、まず『本邦の公私の機関との契約に基づいて』とありますので、要介護者又はその家族と直接契約をし介護を行うといった場合には、この在留資格は該当しなくなります。あくまでも介護施設などの機関と契約が必要になります。
『介護又は介護の指導を行う業務』については、介護は施設等での入浴、食事の介助などの介護業務全般が該当します。ケアプランの作成などももちろん該当します。この在留資格【介護】をもって活動できる場所は、施設内だけではなく訪問介護なども含まれますし、介護の対象者も老人以外も可能です。
補足ですが、大学などで介護などを学んだ場合に、在留資格【技術・人文知識・国際業務】を持ち、介護施設で介護サービスなどの相談業務に従事することも可能ではありますが、この場合には上で述べた介護業務には従事できませんのでご注意ください。
介護の指導については、無資格者が行う食事や入浴の介助などの介護業務について指導を行うことや、要介護者に対して助言などを行うことを意味します。
要件
在留資格【介護】の要件についてまとめていきます。
特徴でも触れましたが、基本的に介護福祉士の資格を持っていて、かつ登録をしていることが前提となります。資格に受かっているだけの場合では、この在留資格に該当しません。
資格取得に至る経緯において、技能実習により実務経験を積んだ上で資格を取得した場合には、本国への技術移転を行うこととされており、申請時に『技能移転に係る申告書』という書類を別途用意する必要があります。この書類の内容を見るに、本国に対して技術移転をしなくてはならないことを再確認するような内容となっています。例えば現時点で特定技能1号『介護』の方が、将来的に在留資格【介護】に変更し永住申請まで行いたいという場合においては、この技術移転がネックになる可能性があります。永住申請時には日本への継続的な在留期間が要件となっており、本国への技術移転が帰国をして介護の仕事などに従事する場合には、継続的な在留期間がリセットされてしまう恐れがあります。このような場合、例えば技能実習生を受け入れている介護施設において、その実習生に対し指導や助言等を行い、技術移転に寄与するという方法も考えられます。
他の要件としては、公私の機関と契約して介護又は介護の指導の業務に従事すること。日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが挙げられます。
必要書類などは以下のリンクに記載があります。
まとめ
今回は在留資格【介護】について書いていきました。
範囲が拡大された特定技能2号では、介護分野での申請はこの【介護】の申請を行う必要があります。特定技能1号から直接在留資格【介護】へ変更申請をする場合には、特定技能1号の間に介護福祉士の資格取得を行わなければなりません。そして、元々技能実習生として介護分野で働いていた方は、本国への技術移転を行うことを求められます。介護福祉士の合格率は、70%以上となっていますが、これは日本人で専門学校などで学んでいる学生も含めたパーセンテージになりますので、特定技能1号で働きながら資格を取得するのには相当な努力が必要かと思います。
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