在留資格:短期滞在~特徴と要件~

在留資格【短期滞在】とは

さて、今回は在留資格【短期滞在】を解説していきたいと思います。

この在留資格は中長期での在留や就労活動は認められておらず、いわゆる観光ビザと呼ばれる在留資格です。ですので基本的には更新などはできないものとなります。

他にも『180日ルール』があるなど、他の在留資格とは一風変わった在留資格であると言えるかもしれません。では、早速解説していきましょう。


特徴

『本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動』

と定められています。

これを読んでいただければ分かる通り、観光客や商談のために来日するビジネスマン、日本に住んでいる親族に会いに来た人達のための在留資格です。よく『観光・商用・親族訪問』と言われたりします。

  • 『本邦に短期間滞在して』

この文言ですが、一体どのくらいの期間を短期間と入管は考えているのでしょうか。これは【短期滞在】の在留期間にも関する事ですが、90日、30日、15日以内とされていることからもお分かりいただけるかと思います。また、何よりも大事なのは、活動目的を達成するためには短期間の滞在で終了するから【短期滞在】のビザを申請するという考え方です。1回の在留が短くても、年間に何度も出入国を繰り返し、年間トータルで計算すると長期になってしまうような場合は、この【短期滞在】の在留資格に当てはまらなくなってしまいます。

ここで出てくる実務上の考え方が『180日ルール』と呼ばれるものです。これは入管法には書かれていないですが、実務上このように取り扱われるという類のものです。

『180日ルール』に関しては、数字が色々出てきてややこしいので後ほど説明します。

  • 『観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動』

と【短期滞在】の内容は書かれていますが、あくまでもこれは例であり、短期間かつ就労活動でないのであれば、活動内容は結構広い範囲に及びます。

よく例として用いられるのがアフターサービスの為に来日するような場合です。外国の事業所に所属している外国人が、外国の事業所で従事している業務の一環として短期間日本で業務に従事するような場合には【短期滞在】として認められます。

180日ルールについて

【短期滞在】の『180日ルール』とは、【短期滞在】のビザで日本に在留できる上限期間は年間で180日であるというものです。このルールに入管法上の根拠はないですが、審査要領に180日を超えないように留意するとの記載があり、実際にこれに基づいて実務上短期滞在は審査されています。

もちろん『絶対に180日を超えて在留できないか』と言われるとそういう訳でもありませんが、それには特別な事情が無くてはなりませんし、その特別な事情があったら絶対に認められるかという訳でもありません。

特別な事情を例で挙げると、

  • 重病に罹ってしまい帰国が困難になってしまった
  • 妊娠していて、日本で出産しなくてはならないような状態になり帰国が困難になった
  • 日本で出産したが、産後の経過が悪く日本で治療する必要があるため帰国が困難になった

などです。

180日間の計算方法は基準日を定め、その日より過去にさかのぼり1年以内の在留日数を計算します。

具体的に見ていきましょう。

例えば2024年7月1日から2024年8月1日まで日本に旅行するとしましょう。そうなると基準日は8月1日の帰国予定日となります。この日より過去に1年さかのぼり、2023年8月1日からの1年間の間に180日を超えていないかという考え方をします。

7月1日から8月1日まではおよそ30日なので、2023年の8月1日から申請までの間に150日以上【短期滞在】で在留していると180日を超えてしまいます。なお、この残り150日というのは、実際に滞在した期間を表しており、例えば30日の【短期滞在】許可を受けたが実際には20日しか日本にいなかった場合には、パスポートのスタンプを基準に20日と日数を数えます。

短期滞在を更新したい時

最初にお話ししましたが、基本的には【短期滞在】は更新ができません。しかし人道上の真にやむを得ない事情がある場合などは更新が許可されるケースがあります。

必要書類などは以下のサイトをご覧ください。

出入国在留管理庁ホームページ(在留資格「短期滞在」)

短期滞在ビザから別のビザに変更したい場合

【短期滞在】ビザで日本に来た方が、そのまま変更申請を行うことはできるでしょうか?こういう質問はたまに来ることがありますので、ここでお答えしておこうと思います。

答えは『原則変更申請を行うことができない』です。

というのも、やはり【短期滞在】という在留資格は帰国することを前提に定められているものですので、よっぽどの特別な事情がある場合を除きそのまま帰国せずに変更を認めることはできません。ただし、日本で【短期滞在】の在留資格を持ちながら、【技術・人文知識・国際業務】などの就労系ビザの認定申請を行うことは可能です。そしてもし仮にその在留資格認定証明書(COE)が短期滞在期間中に発行された場合には、それをもって入管にて変更申請を行うことが可能です。ただし、在留資格認定証明書(COE)が発給されるのを待つために、【短期滞在】ビザを更新したいというのは認められませんので、その場合には帰国しなくてはなりません。

では、【日本人の配偶者等】などのいわゆる身分系の在留資格への変更はどうでしょうか?

日本に婚約者がいて、短期滞在で来日しそのまま結婚したような場合です。答えは『特別な事情があると認められ、直接変更申請ができる』となります。

一方で【家族滞在】の在留資格への変更は認められませんのでご注意ください。


要件

要件と言われると特に難しい要件はないのですが、あえて言うなら以下の通りです。

  • 有効なパスポートを所持している
  • 提出書類に不備などが無いこと
  • 申請する目的が【短期滞在】の活動内容に該当すること
  • 日本入国拒否理由がないこと

申請方法は以下のサイトにきれいにまとまっていますので、こちらを参照ください。

外務省ホームページ(短期滞在査証(ビザ)手続きチャート)


まとめ

今回は在留資格【短期滞在】について解説を行いました。コロナも明け、今では多くの観光客が日本に訪れており、この在留資格も大勢の方がお持ちだと思います。更新などは基本的にできない在留資格なのでご注意ください。

この在留資格の解説をもって一旦は全ての在留資格を解説できたかなと思います。【技能実習】に関しては、【育成就労】へと変わってしまうことから、一旦は解説はしないでおこうと思います。

何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問い合わせください。


川崎・横浜エリアのビザ申請なら

And-U行政書士事務所

Translate »