在留資格:技能~職歴を活かして日本で働く~

在留資格【技能】とは

今回は在留資格【技能】について説明していきます。

料理人、スポーツ指導者、航空機のパイロット、ソムリエ、貴金属などの加工職人等、特別なスキルを活かして活躍する方々がこのビザの対象となります。これら職業に共通する点というのが、今回の特徴・要件に深く関わってきます。

このビザを持つ方でよく見受けられるのが、中華料理やフランス料理、インドやタイ料理店などで働く料理人の方です。経営管理ビザで料理店を営んでいる方も多くいらっしゃいますが、その場合技能ビザを持っている方を雇うケースはよくあります。

では、このビザの特徴・要件をまとめていきます。


特徴

技能ビザにおいて日本で許可される活動は、『本邦の公私の機関との契約に基づいて行う、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動』と定められています。ポイントとなるのが【産業上の特殊な分野】【熟練した技能を要する業務に従事】の2点です。この2点を簡単にまとめてすごくザックリ言ってしまうと、特別なスキルを持っている人に対してのビザであるということを指しています。

改めてどの様な仕事がこの技能ビザに該当するのでしょうか。

対象となる業務内容

  1. 料理人(タイ料理人は例外あり)
  2. 外国様式の建築物の建築技術者
  3. 外国特有製品の製造や修理
  4. 貴金属・毛皮の加工
  5. 動物の調教
  6. 石油・地熱開発のための掘削調査
  7. 航空機のパイロット
  8. スポーツ指導者
  9. ソムリエ

これら9つが入管法7条1項2号の基準を定める省令で挙げられています。

在留期間は3月、1年、3年、5年とされています。


要件

技能ビザを申請するにあたり、何よりもまず大事なのは実務経験です。各職業ごとに必要な経験年数を表でまとめました。各職業ごとに求められる年数が異なります。

基準省令職業実務経験年数
1号料理人10年以上
タイ料理人5年以上
2号外国特有の建築技術者10年以上
3号外国特有製品の製造・修理10年以上
4号貴金属・毛皮加工10年以上
5号動物の調教10年以上
6号石油・地熱開発の掘削調査10年以上
7号航空機のパイロット250時間以上のフライト経験
8号
スポーツ指導者3年以上
9号ソムリエ5年以上

いくつか例外があるので見ていきます。

  • パイロット以外は、外国の教育機関において当該専門職に係る科目を専攻した期間を実務経験に含むことが可能です。
  • タイ料理人は、実務経験に加えて技能水準に関する証明書(初級以上)が必要かつ、タイにおいてタイ料理人として妥当な報酬を受けていないといけません。(来日前の過去1年間)日タイ経済連携協定|外務省 (mofa.go.jp) (mofa.go.jp)
  • 外国様式の建築物の建築技術者は、当該技能を要する業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっては,5年の実務経験でいいとされています。
  • 動物の調教は動物園や水族館での就労を想定されているので、サーカスは興行ビザに該当します。
  • パイロットは定期運送用操縦士、事業用操縦士、準定期用操縦士のいずれかの技能証明が必要です。(そのために250時間以上のフライト経験が必要です)
  • スポーツ指導者は実務経験だけでなく、選手としてオリンピックや世界選手権など国際的な競技会に出場したことがある方も含まれます。プロスポーツの監督やコーチは興行ビザです。
  • 気功は運動指導としてであれば技能ですが、病気の治療などの気功は技能に含まれません。
  • ソムリエは実務経験だけでなく、国際ソムリエコンクールで優秀な成績を収めたことがある、国際ソムリエコンクール(出場者が1国につき1名に制限されているもの)に出場したことがある、もしくはワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する方でないと申請できません。
  • ソムリエはワインに関する幅広い業務が認められますが、食器洗いやレジ打ちなどの業務には従事できません。

 

さて、ここで一つクイズです!

日本において日本食料理の実務経験を10年積んだ方を、日本料理店が技能ビザで雇用することは可能でしょうか?

 

 

 

答えは『できない』です。

あくまでも外国において、外国の料理の実務経験を積んだ方が、日本でその外国料理の料理人をするためのビザですので、クイズのような状況の方は技能ビザに該当しません。

まぁ、そもそも『日本において日本食料理の実務経験を10年積んだ方』という条件がなかなか難しい条件なのですが(笑)この様な仕事に就ける在留資格が非常に限られていますからね。

ポイントとしては、外国特有の産業分野(1号~3号)、日本の水準よりも外国の技能レベルが高い産業分野(4号、5号、8号、9号)、日本では技能者が少数しか存在しない産業分野(6号、7号)のいずれかに該当する必要があります。

入管に提出する書類は料理人と料理人以外で異なります。以下のリンクをご参照ください。

在留資格「技能」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)


まとめ

今回は在留資格【技能】について説明しました。

このビザは学歴要件が無いため、在職証明書などの書面にて経歴を証明しなくてはなりません。一方で在職証明書などは民間が作る書面ですので、経歴を偽ろうと思えば他の在留資格より簡単にできてしまいます。そのため経歴証明は非常に厳しく審査されます。

以前実際にあったケースでは、海外で勤務していた店の飲食店許可書の写しの提出や、外観の写真、メニューの写しなどを求められました。もちろんこの申請をした方は経歴を一切偽っておりません。また最近ではその国の制度によってですが社会保険番号を求められることもあると聞きます。

これらの事からも分かる通り、経歴を証明するにあたり勤務していた店からの在職証明書だけでなく、さらにそれを裏付ける資料が必要になるケースが多いです。そういう意味では経歴証明は非常に難しいケースもあると言うことができます。

何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問合せフォームよりお問合せください。


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