特定技能外国人を雇用するには
今回は特定技能外国人を実際に雇用する際の流れを中心にお話していきます。
この特定技能という在留資格はどうしても技能実習生と混同されているケースが多いように見受けられます。そのため改めて特定技能の受け入れを説明していきます。
特定技能外国人の雇用
前提としてポイントを挙げると以下の通りです。
- 海外・国内両方から採用が可能
- 特定技能には監理団体や送り出し機関の存在は特に必要ではない。日本人の雇用と同様に、外国人が自ら企業に応募するか、もしくは職業紹介会社を経由して採用に至るケースが一般的
- 直接雇用が原則。派遣の形態が認められているのは『農業分野』と『漁業分野』のみ
今回は採用の流れということですので2番にフォーカスします。直接応募があり採用をする分には特に言うべきことが無いと思いますので、特に職業紹介会社を用いた場合について説明していきます。
職業紹介会社を利用する
自社の求人ではなかなか外国人の雇用を行うのが難しいのが現状です。そういう場合には有料職業紹介事業を行っている会社に依頼してみるのはどうでしょうか?
有料職業紹介会社を用いれば、費用は数十万程度掛かりますが比較的スムーズに適した人材を紹介してくれると思います。
ただ、いくつか注意点が存在します。
そもそもの話ですが、職業紹介事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要になります。
許可を受けた会社には、登録番号が付され、その後の在留資格許可申請時には職業紹介会社の詳細と登録番号を申請書に記載する必要があります。
つまり適切に許可を受けた事業者を用いないと、申請書の項目が埋められないということになってしまいます。
また、技能実習の監理団体はあくまでも技能実習雇用契約の斡旋のみ行えますので、特定技能外国人斡旋を行う場合には、別途職業紹介事業の許可を得なくてはなりません。
なお、建設分野において現場作業員についての有料職業紹介は禁止されています。ただし現場に出ても現場作業を行わない施工管理業務等については可能です。厚生労働省の許可を得た認定団体は現場作業員の有料職業紹介が可能です。
海外に住んでいる外国人を紹介する
今度は有料職業紹介会社側の話ですが、海外に住む特定技能外国人を日本国内で紹介する場合には、職業紹介事業を行う許可とは別に届出を行う必要があります。また、海外に住む外国人を紹介するにあたり別途追加で以下のような基準が設けられています。
- 取り扱い職種の範囲などとして届け出た国以外を相手先国としてはならない
- 入管法や相手先国の法令を遵守した上で職業紹介を行う必要がある
- 求職者に渡航費用その他の金銭を貸し付け、また求人者がそれらの金銭を貸し付けた求職者に対して職業紹介を行ってはならない
- 次に該当する取次機関を利用してはならない
- 相手国において活動を認められていないもの
- 職業紹介に関し、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、求職者の財産を管理し、違約金など不当に財産の移転を予定する契約をし、または求職者に対して渡航費用その他金銭を貸し付けるもの
- 職業紹介に関し、求職者が保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、財産を管理されていたり、違約金など不当に財産の移転を予定する契約を締結されていることを認識して職業紹介を行ってはならない
海外から人材を採用する場合、相手先国の法令において送り出し手続きが定められている場合もありますので事前確認が必要です。
厚生労働省:特定技能外国人材の受け入れに関する留意点(2019年4月1日~)
4番で『取次機関』というワードが出ましたが、簡単に言うと海外の職業紹介会社です。海外に住む外国人を職業紹介業務として日本で斡旋する場合には、海外の取次機関と業務提携などを経たうえで行う必要があります。例えば海外にある日本語学校などは取次機関として活動しているケースが多いです。たとえ海外に住む外国人本人から直接日本の職業紹介会社に紹介してほしいとの依頼があったとしても、現状では日本で職業紹介を行うことはできません。
一方で、雇用したい会社側に外国人本人から応募があり、その方が海外に住んでいる場合には、海外の取次機関を通す必要がありません。
取次機関が必要となってくるケースは、日本で有料職業紹介会社を通じて行う就職斡旋において、外国人本人が海外に居住しているケースとなります。
まとめ
今回は特定技能外国人の雇用について、職業紹介会社を利用する場合の注意点と、職業紹介会社が海外に住む外国人を紹介する際の注意点についてまとめました。
ちなみに職業紹介事業の申請については社会保険労務士の分野になりますので、行政書士では申請のお手伝いは難しいです。ただ、特定技能含む就労ビザ関連でどうしてもお客様から聞かれることも多いので、今回簡単なメモ程度になりますがまとめました。
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