コラム:技人国ビザと副業~資格外活動との関係性~

技人国ビザで副業!?

昨今副業が話題になっており、平日会社勤めをしつつ週末は別の仕事をしている人がたまにいます。行政書士の中でも「週末行政書士」と呼ばれるような、いわゆる会社員として働きつつ、週末だけ行政書士をしている人も決して多くはありませんが少なくはありません。それで行政書士なんて大丈夫なのか?といった疑問は一旦置いといて、働き方の自由度が増したのは事実だと思います。

そんな中今回は、『技人国の在留資格を持つ外国人の方が副業を行うことは可能なのか?』というテーマで書いていきたいと思います。

なお、どうしてこんなことを思ったのかと言いますと、前回の記事で有料職業紹介の会社を立ち上げたことは書きましたが、登録支援機関の申請を行うにあたり通訳者を探すため色々調べたので、その調べた結果を自分が忘れないようにまとめようと思ったからです。


技人国で副業は可能

まず結論から申し上げますと、技人国で副業は可能です。しかし何も制限なく行えるかと言うとそうではありません。

副業で最も手軽なのはアルバイトだと思います。日本で留学生をしていた人なら馴染みがあると思いますが、アルバイトのためには【資格外活動許可】が必要です。

この資格外活動には『個別許可』と『包括許可』の2種類があり、留学生や家族滞在の方には『包括許可』が付与されます。この『包括許可』であれば、風俗営業を除くほぼ全てのアルバイトをすることが可能ですが、技人国を持っている方にはこの『包括許可』は基本的に付与されません。

さて、ここまでは前提となる話です。

では『資格外』とは一体何の『資格』外なのでしょうか?

『資格』とは在留資格の事であり、在留資格はそれぞれどのような事を日本で行うかという目的別で種類分けされています。その中でも技人国は『本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動』を行うためと定められています。

つまり、技人国は上記目的のための在留資格であるため、それ以外の活動をして収入を得る場合には『資格』外の『活動許可』が必要となります。


資格内と資格外を考える

では具体的な事例で考えていきたいと思います。

私のもう一つの会社『合同会社ワンチャンス』では、『翻訳・通訳』と『営業』でアルバイトを募集していたとします。そこに何名か応募があったとして、その人たちが働くことができるか考えていきます。

ケース1:ビジネス系の専門学校に通う留学生のAさん。資格外活動は許可されており、現在他のアルバイトは行っていません。『翻訳・通訳』の仕事に応募。

この方であれば、特に問題なくアルバイトを始めてもらうことができます。もし他のアルバイトも行っていた場合には、留学生の資格外活動は長期休みを除き週28時間に制限されているので注意が必要です。

ケース2:日本の大学を卒業し、技人国の在留資格で翻訳・通訳の仕事をしている会社員のBさん。『翻訳・通訳』の仕事に応募。

この方の場合、認められている技人国ビザの内容が『翻訳・通訳』であることから、資格内の活動と言えます。よって『資格外活動許可』を取らずにアルバイトを行うことが可能です。なお、この方がもし『営業』の仕事に応募してきた場合には『資格外活動許可』が必要になります。

ケース3:日本のビジネス系専門学校を卒業して、技人国の在留資格で営業の仕事をしている会社員のCさん。『翻訳・通訳』の仕事に応募。

この方の場合、一見そのままアルバイトができそうに見えます。なぜなら『営業』の仕事も『翻訳・通訳』の仕事も両方とも技人国の範囲内の仕事だからです。しかし、この方の技人国ビザは、あくまでも営業の仕事をするための技人国ビザであり、今回応募した『翻訳・通訳』の仕事はそういう意味で資格外の仕事となります。また、この方は『ビジネス系専門学校』卒業という事で、技人国のビザ申請自体『翻訳・通訳』の仕事がすんなりと認められるという訳ではありません。そのためこのケースにおいては『資格外活動(個別許可)』をもらう必要があります。なお、余談ですが『営業』のアルバイトであれば『資格外活動許可』が無くても可能で、何なら時間給ではなく完全歩合給も可能です。その代わり、収入の申告などの手続きは必須で、もし必要な手続き(税申告や契約機関の届出など)が疎かになってしまうと技人国ビザが更新されない恐れがあります。


まとめ

今回は『技人国ビザと副業』というテーマで書きました。正直この辺の事を細かく書いているネットの記事はあまり多くなく、また判断を一歩間違えると資格外活動違反となってしまう為ある意味デリケートな内容です。

たまたま通訳者を探していて念のため入管に確認の電話をし得た結果をベースに、私が忘れないようにコラムとして残すことにしました。

何かご不明点、ご相談などあればお気軽にお問合せフォームよりお問合せください。


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